千葉市 <自治体アンケ>残土対策の条例化47% 規制強化傾向
毎日新聞が実施した建設残土の全国アンケートで、全67の都道府県・政令市のうち47%に当たる32自治体が、土砂条例を制定・適用していることが分かった。建設工事が多い関東や関西に集中し、自治体によっては改正で搬入規制を強めているが、32のうち17自治体は法整備を求めている。
条例は20都府県と6政令市が制定し、6政令市は未制定だが府県条例の適用のみを受けている。関東の1都6県と5政令市、四国4県では、全てで制定・適用があった。
関西の2府4県と4政令市で制定・適用がない自治体は滋賀、奈良県と京都市。府県条例が適用されない政令市は全国で京都市だけだった。滋賀県では大津市など4市町に条例があり、奈良県は検討中。一方、京都市は門川大作市長が9月の記者会見で条例について「研究を進める」と言及したにもかかわらず「不要」と回答した。
制定理由は「近県で制定され本県への土砂搬入の圧力が高まった」(山梨、高知両県)、「1992~97年に54件の投棄が発生したが、土砂発生から処理まで責任を明確にした法令がなかった」(神奈川県)、「既存法令だけでは効果的な規制が困難」(大阪府)などだった。
各自治体は搬入先が一定面積以上になると許可などを求めている。千葉市は、千葉県条例の3000平方メートルより厳格な500平方メートルからで条例をスタートさせ、2010年に300平方メートルと厳格化した。相模原市も97年制定の条例を2度改正し規制を強化している。ただ、改正自治体からも「全国共通のルールを作るべきだ」との意見が上がった。
制定・適用がない27道県・8政令市のうち、宮城、山形など5県が「必要性あり」か、検討中と回答。佐賀県は「現行の環境保全条例では許可制や罰則の規定がなく強制力に欠けるため、他県の条例を調査・検討中」という。【飼手勇介】
◇京都市、権限なく後手後手
京都市伏見区の住宅街に接する大岩山(標高189メートル)は昨年6月ごろから、建設残土を有料で受け入れる「残土ビジネス」の投棄先となった。土砂条例がない市は同11月ごろから業者を宅地造成等規制法で指導しようとしたが、土砂撤去をすぐに命じられない同法では積極的に規制できず大量投棄を許した。
市はその後、崩落の危険のある急斜面の是正工事を土地の管理会社に指導。しかし管理会社から無償で委託された別業者が、是正費用を捻出するため、さらに大量の土砂を運び入れる悪循環に陥り、今年7月の西日本豪雨で崩落。土砂搬入はさらに続いた。
市は業者の対策が不十分として行政代執行を視野に命令や戒告を連発しているが、安全な斜面の構築には最終的に「億単位の費用がかかる」(市関係者)とされる。回収できなければ多額の税金が投入され、被害を拡大させた責任を市は厳しく問われる。