孤立2万人以上、空や海から食料や水…道路寸断
西日本を襲った記録的豪雨の被害は11日、さらに拡大し、読売新聞のまとめでは、同日正午現在、死者は12府県で169人、行方不明者は7府県で79人に上った。広島、愛媛、高知県では土砂崩れなどで生活道路が通行止めになり、2万人以上が孤立状態になっている。復旧には長期化が見込まれており、各自治体などが空や海などから食料や水を運んでいる。
3県の10日午後時点の集計によると、道路が寸断され、孤立状態の地区があるのは、広島県が呉、竹原両市の約1万400世帯、約2万人、愛媛県は西予市や伊予市などの約40世帯、約75人、高知県は安芸市、大豊町などの約150世帯、約230人。岡山県は「確認中」としている。
このうち、高知県大豊町では、山奥の3集落につながる県道の路面が崩壊するなどし、39世帯58人が孤立。1集落では停電も続いており、町職員らが徒歩などで食料や水を届けている。道路の復旧には2週間以上かかる見込みという。
また、広島県の孤立地域のほぼすべてを占める呉市では、安浦地区などの住民に対し、市が海上自衛隊などの支援を受け、船で水や食料を届けている。愛媛県西予市でも、道路が土砂崩れで寸断された2集落で38世帯、71人が孤立している。
国土交通省によると、11日午前5時現在、中国、四国を中心に、山陽自動車道などの高速道路8路線8区間に加え、国道48路線83区間や道府県道・政令市道632区間が土砂崩れや路面崩壊などで通行止めになっている。
一方、岡山県災害対策本部は11日、大規模な浸水被害で48人が死亡した倉敷市真備(まび)町で、26人の行方不明者が新たに判明したと発表した。これまで行方不明は1人とされていた。市や消防、警察など関係機関が情報を持ち寄って整理した結果、人数が大幅に増えたという。
総務省消防庁の集計では10日午後5時半現在、15府県で少なくとも386か所の避難所が開設され、8049人が避難している。電気などのインフラの復旧が進みつつあり、徐々に減少している。
西日本は11日も広い範囲で真夏日となり、同日正午現在、愛媛県大洲(おおず)市34・2度、広島市31・8度などを観測。最高気温は、京都市36度、岡山市34度、広島市33度などと予想され、屋外での作業時や避難所での熱中症対策が重要となっている。