松戸市 フェリー、救援に一役 大洗港発 派遣隊員や機材輸送
北海道地震の影響で道内の空港や鉄道が十分に機能しなかったため、人員や機材の輸送手段として海路に注目が集まっている。大洗港(大洗町)から出航する苫小牧港行きのフェリーには、関東近辺から被災地支援の派遣隊員らが続々と集結。行方不明者の捜索や救助、復旧に向け、重要な拠点となっている。
大地震が発生した6日、北海道の新千歳空港は停電や天井の落下などで終日閉鎖され、200便超が欠航。鉄道も北海道新幹線を含め道内全ての路線で運転を見合わせた。このため海路に利用が集中した。
大洗港と苫小牧港を結ぶフェリーを運航する商船三井フェリー大洗支店によると、6日以降、各機関の派遣隊が大洗港から被災地に向かった。東京消防庁は同日、職員99人と建機を積んだ車25台を派遣。関東管区警察局も同日、県警を含む広域緊急援助隊154人を車34台と共に送り込んだ。このほか、同支店には、派遣に伴う乗船問い合わせが相次いでいるという。
苫小牧港発の便も本州に帰る人たちで6日夕のフェリーが満席になった。「陸路も空路も使えない中、フェリーが動いているとSNS(会員制交流サイト)でも広まったようだ」と同支店は説明する。
7日も大洗港から被災地に人員と機材が出航した。国土交通省関東地方整備局は、緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)向けに照明車20台を送った。出発式がフェリーターミナルであり、宮武一郎・同整備局関東技術事務所長が「無事に送り届けてほしい」と激励。照明車を現地に届ける協力会社の従業員が「しっかりと引き渡していく」と決意を述べた。
照明車は関東技術事務所(千葉県松戸市)や常陸河川国道事務所(水戸市)、下館河川事務所(筑西市)など管内8事務所から集められた。同整備局は既に職員20人を現地に派遣。照明車は不明者の救助、夜間の復旧作業、停電している避難所などで活用される。
東京消防庁も同日、10トン水槽車や救援物資を積んだ車5台と共に隊員15人を派遣。出発前には、救援物資の積み込みや車両点検を行う隊員らの姿があった。「一刻も早く道民の方々へ物資をお届けしたい」と意気込んだ隊員らが乗る車が午後7時ごろ、フェリーへ乗り込んだ。