船橋市 「横河ブリッジ」(千葉県船橋市)
新名神橋桁落下事故 工事元請業者ら4人を書類送検
神戸市北区の新名神高速道路の建設現場で2016年4月、橋桁が落下して作業員10人が死傷した事故で、兵庫県警捜査1課などは16日午前、業務上過失致死傷の疑いで、元請けの「横河ブリッジ」(千葉県船橋市)の当時の現場所長男性(44)ら4人を書類送検した。捜査関係者への取材で分かった。過失の程度については「悪質」と判断したとみられ、同日午後にも発表する見通し。
ほかに書類送検されたのは、同社の現場副所長だった男性(44)と工事責任者だった46歳と39歳の男性。39歳の男性は否認し、他の3人は「(事故が起こりかねないという)危険性を認知していた」などと容疑を認めているという。
捜査関係者によると、4人は必要な地盤調査と安全対策を怠り、橋桁の東側を支える支柱の沈下を認識していながら工事を続行した結果、橋桁のバランスが崩れて落下するという事故を引き起こした疑いが持たれている。
県警は、4人が事故前日から支柱の沈下を知りながら発注元の西日本高速道路に報告せず工事を続行し、危険な状態にもかかわらず作業員の避難も検討しなかったと判断。また、橋桁を載せる仮設台には計画外の塩化ビニールシートが使われており、傾いた橋桁が滑りやすくなった要因になったとみている。
現場所長だった男性は聴取に対し、地盤調査について「失念していた」とし、それに気付いた後も工事を続けた理由については「(5月の大型)連休までに終わらせたかった」などと話しているという。
横河ブリッジの広報担当者は「書類送検の事実を重く受け止め、関係者にご迷惑とご心配をかけたことを深くおわびする。引き続き安全施工と事故の再発防止に取り組みたい」とした。
【神戸市北区の橋桁落下事故】2016年4月22日、神戸市北区の新名神高速道路の建設現場で、国道176号と有馬川をまたぐ橋桁(長さ約120メートル、重さ約1350トン)が落下。作業員2人が死亡し、8人が重傷を負った。