千葉市 eスポーツに企業が急接近 サントリー・トヨタも協賛
大手企業が相次いで、ゲームの勝敗を競う「eスポーツ」のスポンサーになっている。ローソンやサントリーホールディングスなど6社は、eスポーツ業界団体の公式スポンサーを引き受けたと発表した。トヨタ自動車は7月に国内の競技大会で協賛した。インターネット配信などを通じて世界で3億人が見るようになっており、広告効果が大きくなっている。
競技大会の認定や選手育成を担う日本eスポーツ連合(JeSU、東京・中央)が8月9日、公式スポンサーを発表した。ローソンやサントリーのほか、KDDI、パソコン販売のサードウェーブ(同・千代田)、ビームス(同・渋谷)、インディード・ジャパン(同・港)が参画した。同連合の初めてのスポンサーとなる。
同日の記者会見では、3人の選手がスポンサー企業のロゴ入りユニホームを着て出席した。3人は、8~9月にインドネシアで開かれるアジア競技大会の日本人ゲーマー代表。同連合が選んだ。相原翼さん(18)は「一番いい色のメダルを持って帰りたい」と話した。
オランダ調査会社ニューズーによると、17年に世界でネット配信などによってeスポーツの試合を見た人は3億3500万人に及ぶ。米アマゾン・ドット・コムが持つゲーム専門の動画配信サイトなどを通じて各国の視聴者が大会を見ており、企業にとって広告の絶好の場となりつつある。
トヨタ自動車は7月、千葉市で開かれたスマートフォンゲーム「モンスターストライク」の大会でスポンサーを務めた。会場ではトヨタのCMが流れ、優勝チームに「カローラスポーツ」が贈られた。
トヨタが国内でeスポーツに協賛するのは初めてで、同社は「カローラスポーツのターゲットである20~30代にアピールしたい」と説明する。販売店でeスポーツのイベントを開くことも検討しているという。
自ら大会を開く企業もある。ミクシィは15年から開催しており、賞金を出している。今後は運営をスポンサー企業に支援してもらい、大会の数を増やす計画だ。動画配信サイト「ユーチューブ」で大会を見る人が多いといい、18年の大会は280万回再生された。
eスポーツは一つの産業になっており、周辺ビジネスも広がっている。イオンエンターテイメントは、地域のゲームファンが自分たちで大会や交流会を開ける場所を提供する。全国90カ所にあるイオンシネマの劇場を開放し、イベントを自主的に開ける仕組みを年内にもつくる。20年までに年2万人が参加する規模にする目標だ。
eスポーツのスポンサー料、放映・配信権料、広告料などの世界市場規模は、18年に17年よりも38%多い9億560万ドル(約990億円)に拡大すると予想されている。市場は米国や韓国を中心に急成長中だ。
中国で22年に開かれるアジア競技大会ではeスポーツが正式種目となることが決まっている。将来の五輪での採用を期待する声もあり、企業の参画が増える見込みだ。