千葉市   ZOZO前澤の「100億豪邸」「アート」「宝飾品」

千葉市

ZOZO前澤の「100億豪邸」「アート」「宝飾品」に税務調査の日

 

地下には寿司カウンター
東京・上野から京成線で1時間。千葉県千葉市にある、みどり台駅の改札を出ると、ロータリーには「LOVE」と描かれた大きな赤いオブジェが鎮座している。

これはファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZO社長・前澤友作氏(42歳)が寄贈した現代アート作品だ。古くからの個人商店が立ち並ぶ駅前では、少々浮いている。

そこから徒歩数分、閑静な住宅街に前澤氏は大豪邸を建設中である。敷地面積は約500坪。近隣の不動産業者が語る。

「あの土地は、地元にある機械メーカーの社長の邸宅でしたが、資金繰りが苦しくなって’09年頃に売りに出したものを、前澤さんが買ったんです。

あのあたりの地価は1坪80万~90万円で、千葉市内では屈指の高級エリア。建設費はおよそ100億円だと聞いています」

この前澤邸の工事完了予定日は今年3月末だったが、現地を訪れるといまだ工事中で、1階部分は高い仮囲いに隠されていた。

屋上と思しき場所が外から見えるが、そこには大小様々な樹木が植えられている。自宅というよりも、お洒落な商業施設のような外観である。

「もともと前澤さんは前恋人のモデル・紗栄子さんとその連れ子2人と一緒に暮らすつもりで、彼女が内装にこだわっていた。

ところが2人は破局したので、内部の作りを変更しているんです。隈研吾の弟子である気鋭の建築士が設計を担当しています。エレベーター付きで、約160坪の地下室もある。

地下には鮨カウンターも作るとか。ただ、この場所は都心からアクセスが良くないですから、芸能活動を続けているいまの恋人、女優・剛力彩芽(26歳)と一緒に暮らすには不便です。別邸として迎賓館および『私設美術館』として使うのだと思いますよ」(アパレル業界関係者)

前澤氏は現代アートのコレクターとしての顔も持つ。’16年5月にはアメリカの現代芸術家・ジャン=ミシェル・バスキアの作品をオークションにて約62億円で落札。さらに昨年5月にも同じくバスキアの作品を約123億円で競り落としている。

ほかにも前澤氏はピカソの絵画や長谷川等伯の屏風、織部のうつわなども所有する。

米経済誌「フォーブス2018年度版」によれば、同氏の総資産は2830億円にもおよぶ。保有する株の配当収入だけでも約35億円。その豊富な資金力を背景にした膨大なコレクションが、完成後の邸宅には所狭しと飾られるだろう。

だが、そんな美術館付き豪邸に目をつける役所がある。それが国税庁だ。

「美術品は裏取引が横行している世界なので、有名コレクターに国税局課税部の担当者は注目しています。

また、社会的影響力が大きい人物に国税は興味を持っているうえ、前澤氏は自分から派手な生活をSNSで公開しています。国税は念入りに情報収集して、来るべき時期が来たら税務調査をすることになります」

アートは税金がかからない
前澤氏は画期的なアイデアと行動力によって、一代で財をなした稀代の実業家だ。だが、豪邸、美術品、スーパーカーやプライベートジェット、時計などを買い漁る姿は、バブル期の資産家と変わりがないようにも思える。

元国税調査官で、税理士の高木重利氏が語る。

「前澤さんは、富裕層が行う節税の典型的な行為をしているようにもみえます。まず豪邸ですが、通常はキャッシュを不動産にかえれば、建物の評価は減価していくので、相続税の評価額が下がります。

また、プライベートジェットは税務上で認められている耐用年数と実際に使用できる期間に開きがある資産です。5~10年で減価償却は終わりますが、実際は20~30年使えます」

前澤氏を知る金融関係者は、現代アートも同氏は芸術への情熱だけで買っているわけではなく、冷静な判断がともなっていると、こう指摘する。

「彼が購入するアート作品は、値上がりが見込めるものばかりなんです。たとえばバスキアは27歳で早逝しているため作品数がかぎられ、希少性が高い。いま富裕層にとって、アートは資産の運用先としてとても有効なのです。

’00年以降、大手のオークションをみるとアートの価格は平均で毎年7~8%上がっています。前澤氏は感性で購入していると語っていますが、資産運用について有能なアドバイザーがついているんでしょう」

美術品は取得税も固定資産税もかからない。バブル期に日本人が買い漁ったのもそのためだ。加えて、高額なアートを購入したことがニュースとなり、知名度が上がる。

また大富豪である海外のコレクターとの人脈も作ることができる。

「前澤さんは千葉市内にもう一つ美術館を作る構想を持っています。そして、ゆくゆくは自身が会長を務め、信頼する仲間が理事を務める財団法人に美術品を寄付して、美術館を運営していくことになると思いますよ。

相続税対策になるので、実子や将来の妻が受け継ぐよりも、死後も自身のコレクションが散逸するリスクが減りますからね」(前出・金融関係者)

だが、一方で、美術品が増えるほど、国税は目を光らせることになる。

「前澤さんはおカネの出入りが激しいと想定されるので、国税も個人と法人、その関連会社、公益財団法人を含めた全体的な動きをみていると思います。

前澤さんは『球団を買いたい』と発言したり、女優さんとお付き合いをしたりと世間の注目を浴びています。このような資産家の方には、国税も話題が出てから1年以内に税務調査に着手する可能性もあると思います」(前出・高木氏)

前澤氏は自身のブログでこう書いたことがある。

「僕は、まるで国税職員が会社の強制調査をするように、眉間にシワを寄せながらエクセルシートと睨めっこをするようになってしまいました」

わざわざ喩えに使うくらい、前澤氏も国税を意識している。資産家は国税が怖い。それはいつの時代も同じようだ。