松戸市 三越伊勢丹、黒字浮上でも残る「3つの不安」
「大幅な賃金カットが実施された状況下で、社員のモチベーションは下がっている。今後どうやって社風をよくしていこうというのか」。ある社員はそう嘆く。
■構造改革の真っただ中
百貨店首位の三越伊勢丹ホールディングス(HD)は5月9日、前2018年3月期業績の結果と今2019年3月期の見通しを発表した。前期は売上高1兆2688億円(前期比1.2%増)、営業利益244億円(同2.0%増)と営業利益ベースで微増益を確保したが、不振店舗の減損損失を計上した結果、当期純利益は9.6億円の赤字となった。最終赤字は2010年3月期以来8期ぶりとなる。
今期は売上高1兆1950億円(前期比5.8%減)、営業利益290億円(同18.8%増)、純利益130億円(同139.6億円のプラス)を見込む。不採算事業の清算などで売上高は目減りする一方、構造改革の成果で純利益ベースでは黒字を回復する。
「事業構造改革の主なものは昨年度の段階で終えた。まだ積み残した課題はあるが、今年度中に全てメドをつけたい」。三越伊勢丹HDの杉江俊彦社長は9日に行われた決算説明会の席上でそう語った。
同社は目下、2021年3月期を最終年度とする中期経営計画を進めている。事業構造改革を徹底し、収益体質を強化したうえで成長戦略に着手する方針だ。その構造改革は「想定以上に進んでいる」(杉江社長)という。
まず不振だった伊勢丹松戸店(千葉県松戸市)を3月に閉店。同じく3月に、赤字を垂れ流していたスーパー「クイーンズ伊勢丹」の運営子会社株式66%を投資ファンドに売却した。大幅赤字だったアパレル子会社のマミーナも今期中に清算手続きを終える。さらに、これまで持ち越してきた売価にして100億円もの不良在庫を前期に一掃した。
売り上げの面でも、日本一の売り上げを誇る伊勢丹新宿本店は訪日客需要の取り込みが順調で、好調を維持している。こうした状況を踏まえると、同社の業績は一見回復しているように映る。とはいえ、決算の内容をつぶさに見ると、いくつかの不安要素が見えてくる。
■「早期退職の人数は想像できない」
1つ目はリストラの不徹底だ。同社は既存の早期退職制度である「ネクストキャリア制度」を拡充し、従来よりも退職金額を大幅に積み増して人員削減を進めている。ところが、前期からの3年間で800~1200人の人員削減を想定しているが、前期の応募はわずか180人。今期は上期(2018年4月~9月期)と下期(2018年10月~2019年3月期)の2段階にわけて募集する計画だが、どれだけの人数が応募してくるかは現時点では不透明だ。
「前期は応募を始めてから締め切りまでの期間が短かった。応募人数(180人)については、そんなもんじゃないかととらえている。今期はどうなるかというと、私には想像できない。これは従業員の選択にお任せするしかなく、そこが多い、少ないはあまり気にしていない」と、杉江社長はまるで他人事のように話す。
不安要素の2つ目は、不振子会社の対応の遅れである。「業績が低迷している関連会社の対応は、ほぼ前年度で終わったと思っている。一部は残っているが、今上期中にはメドをつける」と杉江社長は自信を示す。
だが、テレビ番組制作などを手掛ける「スタジオアルタ」や、2017年1月に取得したエステ会社を傘下に持つ「SWPホールディングス」は赤字決算が続く。同じく2017年3月に買収した旅行事業の「ニッコウトラベル」も低収益に苦しむ。これら多くの不振会社の対応を今上期中に終えるというのは、容易ではない。
■社内の一部に不協和音も
不安要素の3つ目は、将来の成長戦略が見えてこないことだ。2020年までに200億円以上の投資をしてEC(ネット通販)事業を拡大する計画だが、今春に予定していたスマートフォン用アプリの立ち上げは「秋ぐらいになる」(杉江社長)と、開発が遅れている。デジタルを活用した新規ビジネスについても、「7つほど新規事業を立ち上げる。早いものは6、7月から徐々に立ち上げていく」(同)としたが、その具体的な内容については語らなかった。
不採算事業整理の不徹底や成長戦略の乏しさの一方で、賃金カットを実施された社員も多く、「社内の一部に不協和音がある」ともささやかれている。
「1995年以前に入社した、数多くの部長クラス社員が冷遇されている。担当部長、ディビジョンマネージャーなど肩書きが変更され、権限が大幅にカットされているようだ。もちろん賃金も大幅カット。問題は実力主義ではないこと。年齢で区切られているうえに、自由闊達に意見を言う、いわゆる“モノを言う”社員が外されているように見える」(元百貨店業界関係者)。
2021年3月期営業利益350億円の中期計画の目標に対し、杉江社長は「1年前倒しの2020年3月期に達成できる見込みがついた」と、改革が順調に進んでいることを強調する。ただ、杉江社長に求められているのは単なる業績の回復だけではない。社内外を納得させる具体的な成長戦略を自らの口で語る必要がある
本日、松戸市六高台自宅より依頼を受け、お伺い、車椅子にて
松戸市金ケ作西千葉総合病院に通院治療をされ戻りました。