船橋市  千葉ジェッツ・原修太の肉体革命。

船橋市

ただのマッチョではありません!千葉ジェッツ・原修太の肉体革命。

160cm台の小柄なガードも、200cmを超える大型外国人選手も。誰もがハードに守り、跳び、走る。実にシンプルなことだが、これが徹底できた時の千葉ジェッツはおそろしく強い。

1月の天皇杯で大会2連覇を達成し、強豪ひしめく東地区でチャンピオンシップ(CS)に一番乗り。SNSを十二分に活用したPR戦略、クラブ代表・島田慎二の辣腕ぶりも相まって、コート内外で常に新しさを追い求め、攻め続ける姿勢はBリーグ内でもひと際目を引く。

そんなクラブで、チームからもファンからも愛される「末っ子」がいる。

原修太、24歳。

チームの本拠地・船橋市出身のチーム最年少選手だ。
チームに定着した愛称「ハラーニ」。
身長187cm、体重88kg。

ユニフォームがはちきれんばかりの胸板と腕の太さは、コートの中でも異様に目立つ。日本人Bリーガー屈指の体格とその風貌が、名古屋の東山動植物園のイケメンゴリラ「シャバーニ」 に似ていると評判を呼び、「ハラーニ」と名付けられたゴリラのグッズが販売されるまでに至っている(ハラーニはその後、原の愛称として定着)。

シャバーニも真っ青のイケメンマッチョ、ハラーニは、2016年の12月、突如我々の前に現れた。ケガで2カ月ほど戦列を離れ、久しぶりにコートに出てきたと思ったら上記のような体格になっていたのだ。

’15年12月、入団時の彼の体重は88kg。復帰直後、原は様々な人から「その体、どうしたの!?」と驚きの声をかけられたという。

いったいその2カ月の間に、原の肉体に何があったのか――。

今さらながらその筋肉の裏に隠されたエピソードが知りたくなり、4月某日、練習場を訪れた。
重いウエイトで鍛えているわけではない!?
「マッチョの秘密を探ろう!」

我々の非常に安易な命題は、簡単にひっくり返された。原は力を込めて言うのだ。

「たまに『ベンチプレスばっかりやってるんでしょ』とか言われることがあるんですけど、重点を置いているのは筋肉をつけることじゃないんです。そこを勘違いしてほしくないなと」

まさに「毎日何時間ウエイトトレーニングしているんですか?」「ベンチプレスは何kgくらい上げているんですか?」というような質問を用意していただけに、少しあわてた。

原を含むジェッツの選手たちの体づくりを担当しているのは、ストレングストレーナーの多田我樹丸(がじゅまる)だ。

千葉ロッテマリーンズの専属メディカルトレーナー、バスケットボール選手を中心としたパーソナルトレーナーを経て、2016-2017シーズンにチームに加入。

人間が本来持っている四肢の連動性(キネティックチェーン)を高めることを重視し、日々のトレーニング指導に当たっている。

マンツーマンの“鬼のトレーニング”開始!
多田は開幕当時の原の印象について、こう振り返る。

「元々出力があるタイプと言いますか、筋力もパワーも持っている選手でした。ただ体の使い方がうまくないんです。上半身と下半身の連動性も全然ないし、このままではどこかしら故障するだろうと。

ただ、トレーニング効果が反映されやすい選手なので、時間をかけてしっかり身体を作っていけば、すごく面白い選手になるだろうなと思っていました」

多田の見立て通りというわけではないだろうが、原は開幕直後の10月に、全治3カ月診断のケガで戦線を離脱した。

手術を終えると、マンツーマンの鬼のトレーニングがスタート。原はほぼ毎日、それこそアウェイゲームにも帯同して多田の指導を受けた。

30分程度で終わることもあれば、2時間以上かけてじっくり行われる日もあったという。目をつぶっての片足立ちといったバランス感覚を養うトレーニングから始まり、足の回復具合を見て、動きのあるメニューも増えていった。
多田「高い出力の中で体が使えるように」
原いわく「できなすぎてテンションが下がった」というトレーニングを続ける一方で、ウエイトトレーニングも週に3~4回織り交ぜていた。

多田は理由を説明する。

「チームからも原自身からも、フィジカルなプレーでチームに貢献したいという要望があったからです。筋肉を大きく強くする作業とそれをきちんと使っていく作業を同時進行しないと、当たり負けてしまう。

高い出力の中でちゃんと体が使えるようにしていくために、段階を追ってウエイトを増やしていきました」
「どうやったら自分が試合に出られるか」
国士舘大学時代の原は、まごうことなくシューターだった。

しかし千葉に加入し高いレベルで戦う選手たちを目の当たりにしたことで、ディフェンスとリバウンドを武器に加えようと考えたという。

「自分よりもシュートがたくさん入る選手がいる中で、どうやったら自分が試合に出られるかを考えたときに、シュートが入らなくてもディフェンスやリバウンドや、速攻にどんどんからむことをスタンダードにしていきたいと思って。

相手をかわして器用に得点するようなタイプでもないし、まずは体を生かしたディフェンスのためにトレーニングをしようと思いました」

復帰直後の天皇杯、原はまさにその体を使ったタフなディフェンスで金丸晃輔(シーホース三河)、辻直人(川崎ブレイブサンダース)といったBリーグを代表するスコアラーたちをシャットアウト。

大野篤史ヘッドコーチの信頼を勝ち取り、以降プレータイムを伸ばすこととなった。

原はただのマッチョではない!
体の感覚をトレーニングで磨いたことで、体のちょっとした不調に気付けるようになった。

たんぱく質豊富な食事を心がけ、無頓着だったアイシングをしっかり行い、苦手なストレッチに長く取り組もうとするようになったのも大きな変化だ。

原はただのマッチョではない。

強靭な筋肉と理にかなった身のこなしで爆発的なエネルギーを発揮し、ジェットエンジンで大空に飛び立てるマッチョになったのだ。
「『筋肉をつけすぎじゃない?』と言われるけど……」
昨季のブレイクを経て、原は今季も序盤はプレータイムをコンスタントに獲得し、11月から2月にかけてスタメンで起用された。

しかし現在はプレータイムがやや減少している。

「役割のディフェンス、リバウンド、速攻にからむところで、もう少し貢献できるはずなのにできていない部分があります」

そんな中で、原はある意地をもって残りのシーズンとCSを戦いたいと言った。

「よく『筋肉をつけすぎじゃない? 』と言われるんですが、そのたびにこの体で結果を残して見返したいし、考え方を変えていきたいと思っています」

最終的な理想像は100kgの体重で跳べる選手。

「跳べて、走れて、切り返せるガタイのいいやつです。それこそ、200kgで今の動きができたら200kgでもいいです(笑)」

200kgはともかくとして、前半部分は決して実現不可能なことではないのかもしれない。
近い将来、理想のボディを手にいれたら……。
多田に現在の課題を問うと「100のスピードをすぐに0にしたり、0から一気に100にできるようになること」という。「体の連動性と筋力が必要なので、力を入れるタイミングなどを練習しているところです」と続けた。

理想のボディを手に入れた時、原はどのようなプレーを見せてくれるのだろうか――。

本人が「時間をかけて徐々によくなっていくもの」と話す通り、トレーニングの効果が表れるのには長い時間がかかる。そのころには、「ジェッツの末っ子」はきっと、「ジェッツを代表するプレーヤー」になっていることだろう。

長い長い旅路を、今後も見守っていきたい。

 

本日、船橋市西船自宅より依頼を受け、お伺い、車椅子にて

船橋市北本町船橋総合病院に通院治療をされ戻りました。