事件区切り「平成のうちに」=死刑執行、重要日程配慮か―安倍政権
1995年の地下鉄サリン事件などの凶悪事件を起こし、平成の日本を震撼(しんかん)させたオウム真理教元代表の松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚ら7人の死刑が6日、執行された。
平成が来年4月に幕を閉じることから、政府関係者はかねて「平成の事件は次の時代に持ち越さない方がいい」と話し、Xデーが近いことを示唆していた。来年想定される重要行事への一定の配慮もあったとみられる。
「個々の死刑執行の判断に関わる事項についてお答えは差し控えたい」。上川陽子法相は6日の記者会見でこの時期に執行した理由についてコメントを避けるとともに、「必要な報告を受け、必要な資料、記録を十分な時間をかけて慎重に検討し、最終的な判断をした」と強調した。
執行時期に政権の意向は影響するのか。法務省幹部は「首相官邸の判断は絡まない。これまでもそうだった。報告するだけだ」と否定する。ただ、来春は天皇陛下の退位と皇太子さまの新天皇即位に伴う一連の行事が予定されている。平成のうちに一連の事件に区切りを付けるとの見方は安倍政権で強まっていた。
平成の終幕へ残り少なくなる中、執行に向けた検討は進んでいたようだ。国会開会中の死刑執行は異例だが、法務省政務三役を経験した自民党議員は同省関係の重要法案処理がヤマ場を越えたことを理由に挙げる。法務官僚の信頼が厚い上川氏の在任中に執行を求める声もあり、同省幹部は「数カ月前から準備していた」と打ち明けた。